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\ interview /インタビュー
鶴岡伸幸さん 文京手話会
身振り手振りで 伝える手話の奥深さ
手話を始めたきっかけ
動機は単純で、職場のある墨田区報に講習会の案内を見つけ、興味があり参加しました。好奇心旺盛なので週1回の講習に通っているうちに、どんどんその面白さにはまっていきました。手話は一つの言語ですから、簡単なものではなかったのですが、一緒に受講している人の年齢の幅も広く、職業の種類も様々で、講習後の飲み会での話は、とても楽しいものでした。地域の講習会で初級、中級、上級と進み、東京都の講習会を修了して手話通訳士になりました。サークル活動は気が付いたら、今年で32年もたっていました。
手話の奥深さとは
手話は音声日本語とは異なる言語ですので、文法なども異なります。手の動きだけではなく、表情がとても大事です。手話表現の緩急にも意味があります。手話は国によって異なり、日本の中でも同じわけではありません。手話の多様性、聴覚障害者の歴史、福祉に関する制度、医学的な話、人とのつながり等々、大変奥が深く話せばきりがありません。
自分の中に起きた変化
公務員としての仕事を終え、夜活動するわけですから、時間を効率的に使うようになりました。
簡単なことから処理する能力、人に仕事を頼む力も付きました。
一番人生観が変わったのは、盲(もう)・ろうの方の支援をした時です。それまでは、職業柄、こうあらねばならない的なところがあったのですが、そんなことは通用しない経験でした。その人に一番合った支援を考え、型にはまらない柔軟な行動が必要であると感じました。時には点字、指文字、時には耳のそばで大きな声で話す、いろんなやり方が臨機応変に求められていると気が付きました。
今後に向けて
私たちが手話を学ぶのは、聴覚障害者に関係するボランティアのためです。そして、言語に興味がある人や人とのおしゃべりが好きな人は手話に向いていると思います。もちろん、手話ができなくてもやる気になれば、いろんなボランティアがあるので、やってみたいなと思うものを見つけて、一歩踏みだしてほしいと思います。
私の目標としては、文京区手話言語条例の制定、2025年の東京でのデフリンピック(※)開催を目指して、まずはデフリンピックの認知度を上げていきたいです。
これらも、一人ではできないので、仲間と一緒に頑張っています。人が集まれば問題が起きることはあります。思いをうまく伝えられないことで行き違いが生じることもありますが、人とのつながりは楽しいものです。
文京手話会では、仲間を大切にし、みんなで支え合っていく雰囲気を大事にしています。今はコロナ禍で会うことができませんが、みんなで支え合ってコロナを乗り切っていこうと努力しています。
※ろう者のオリンピック
このページを執筆したセカンドステージサポートゼミのみなさんと一枚
\ 取材後記 /
公務員だった鶴岡さんは、33歳の時にはじめて手話講習会に参加されました。会に参加していくうちに、手話の歴史的背景や多言語性に触れ、その奥深さに見事にはまってしまったそうです。文京手話の会に入って30年あまり、約200人の会員をまとめるのが一苦労だそうです。これから関わる方々には手話を学ぶだけではなく、耳の聞こえない人のサポートもしていただきたいと熱く語っていました。今や一つの文化として、グローバルな発展を遂げている手話への力強い信念と愛情を感じた50分のお話でした。